泥 酔 <下>

2016-12-14 07:07:07
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絡み酒のSさんに 「誰もいないのか?」 と言われて、「ハイ、ここにいます。」 と答えるわけにもいかず・・・私は頭から布団を被ったままで息を殺しつつ、ソ~ッと様子を伺います。

 

(クマに見つかった時に死んだふりをする人の気持ちって、きっとこんな感じなんだろうなァ~。)

 

なんてしょうもないことを考えていると、Sさん・・・今度はナニを思ったか、真っ暗な部屋の中を手で壁を伝いながらカニ歩きし始めました。

 

10畳ほどの部屋の中を、壁 → 障子 → 壁と伝い歩きをするAさんを、私は部屋の真ん中からジィ~ッと目で追います。

 

(一体、何がしたいんだ?)

 

ほぼ部屋を3/4周したところで押入れに辿りつきました。

 

するとSさん、軽く手で襖をバンバンッと叩くと、バッとそれを開けたのです。

 

         ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-襖

 

次に、ナニやらゴソゴソッと布の擦れる音がした・・・次の瞬間!

 

チョロ、チョロチョロ・・・ジョジョ~・・・ 

 

(え゛~っ、 ま、まさか!)

 

なんとトイレと間違えて、立ち小便を始めたんです!驚き顔

 

その間何秒だったのかは記憶がありませんが・・・用が済んだAさん、またゴソゴソッとしてからご丁寧に襖を閉めると、そのまま足元の布団に入り、すぐに大イビキをかいて寝入ってしまったのです。

 

私はたった今見た光景が信じられず、ただひたすら

(オ、オレはきっと悪い夢を見てるんだ
 

と言い聞かせ・・・そのまま寝てしまいました。

 

さて、翌朝7時前。

 

目が覚めた私は体を起こし、既に朝日が差し込んで明るくなった部屋を見回すと、全員が布団の中にいました。

 

そして部屋の中には、微かなアンモニア臭が・・・。

 

(アチャ~、やっぱりアレは夢じゃなかったんだァ。)

 

爆睡するAさんをまたいでソ~ッと襖を開けると、押入れ一面に大きなシミが・・・そしてその真ん中にビショビショに濡れた旅行カバンがひとつ。

 

それは同室の若手社員のものでした。

 

後で聞いたら、彼自身が部屋の真ん中に置きっぱなしにしたカバンを、仲居さんが布団を敷いた時に、押入れの中に入れたんですって。

 

私はただただ呆然。

 

1時間後、その若手社員が起きて洗面道具を取ろうとカバンを探し、押し入れの中から引っぱり出したその瞬間・・・

 

「うわっ、なんだコレ。 なんでこんなに濡れてるんだ?」

 

と絶句。 私が昨夜の出来事を話すと、彼はもう涙目。 

すぐに寝ているSさんを揺り起こして猛抗議。

 

「酷いじゃないですかぁ、ボクのカバンにオシッコかけるなんて!」

 

無理やり起こされた不機嫌さも加わって、それを聞いたSさん・・・本気で怒っちゃいました。

 

「バッカヤロウ! オレがそんなことするわけないだろうが。 

そこまで言うなら証拠を出せ、証拠を!」

 

当時はDNA鑑定なんか誰も知りませんでしたから・・・なんて冗談はともかく、上役のあまりの剣幕に若い彼はビビッてそれ以上何も言えず、泣きながら洗面所でカバンを拭いてましたっけ。

 

ちなみに、液体はカバンの中まで沁みこんでいたそうな・・・。泣き1
 

          ◆     ◆     ◆     ◆

 

記憶がない・・・ってのは、無敵ですネ。

 

でも深酒をした揚げ句 「何をやったか覚えていない」 と言い張る方は、最も嫌われるタイプ。

 

その後も頑として犯行(?)を否認し続けたSさんはその3ヵ月後、別の支店に〝ご栄転〟されましたので、更なる被害者は出ませんでしたが・・・おそらく新任地でも同じ惨劇が繰り返されたことでしょう。

 

どうか皆さん、宴会では記憶が飛ばない程度にお酒を召し上がってください。

 

【 教 訓 】

 ◆ 酒は飲んでも呑まれるな! 

 ◆ 用はちゃんとトイレで足しましょう。

・・・余談ですが、この旅館は持ち回りで旅行の幹事だった支社の大口契約先であり、オシッコをかけられた若手社員が担当でした。 うー チ~ン

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こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-12225336319.html?frm=themeより引用させて頂いております。