ガラパゴス


初場所後に世間を騒がせた朝青龍の暴行騒動が
、彼自身の引退という形で一応の決着を見てから一週間が経とうとしています。

(傷害事件そのものは、まだ終結していませんが。)

一般社会でいえば、傷害事件を起こした幹部社員を懲戒解雇せず依願退職にしたような大甘裁定ですし、本人も「酒に酔っていて良く覚えていない」 と釈明しておきながら、引退会見では 「報道されている内容と事実は大きく違う」 などと矛盾する発言もありましたが、既に角界を去ると決めた者をこれ以上責めても仕方ありますまい。

しかし彼がこれまで起こしてきた不祥事など一連の推移を見ていると、今回の顛末に至った原因が朝青龍本人にあったことは当然ですが、その半分・・・いや、それ以上の責任は親方と日本相撲協会にあったと思わざるを得ません。

日本相撲協会は財団法人の指定を受けており、その寄付行為第三条には

「わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を経営し、もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与すること。」


と記されています。


しかし現在の協会の有様は、その目的を果たしているとは言い難いでしょう。


現在相撲協会には100人余の親方・50余の相撲部屋が存在しており、現役関取が引退後も相撲界に残るためには、それら先輩親方から年寄名跡を1億円以上ともいわれる高額で買い取らなければなりません。 (昔は師匠の娘と結婚・婿入りするなどして譲渡されていたようですが。)


また約700人いる力士の内、給料が支給される関取(幕内・十両)は約70名と僅かに10%。 幕下以下の力士の衣食を賄うのは、相撲部屋を運営する親方に協会から支給される給料が基本であり、それ以外の後援資金を集められるかどうか・・・その経営手腕に部屋の存亡がかかります。


貴乃花親方のような人気力士であれば当初から多くのタニマチから援助を受けられるでしょうが、そういうケースはごく一握り、多くの親方の経済的苦悩は深刻だと聞きます。


その資金不足を大きく補うのは、協会から支給される 「補助金(養成費)」。


これは在籍する関取の番付に応じて支払われますし、横綱・三役を狙える関取を抱えることができれば後援者も増えて一石二鳥・・・ですから各親方は必死に有望新人の発掘に努めます。


現在の協会理事の面々が相撲界に入った頃は北海道・東北・九州出身者が多数を占めましたが、それは貧しい生活から脱却しようと裸一貫で上京、一家に楽をさせてやりたい一心で努力した時代でした。


しかし現在は野球・サッカーなどのプロスポーツが存在し人材は分散し、まわしを締めて裸で土俵に立とうとする若者(入門志願者)は減少の一途・・・10年程前から新弟子検査の合格基準を下げる有様。

その上、現在の協会幹部らが経験してきた〝無理へんにゲンコツ〟の風習は最早現在の若者には通用せず、ちょっと厳しい指導をすればすぐ親元に帰ってしまうとのこと。


そういう現状の中、柔道やボクシング等と違って一切体重制限のない相撲で手っ取り早く関取を誕生させるためには、(現在は一部屋1人の制限があるとはいえ) 日本人より体格で上回りハングリー精神に溢れた外国人を入門させること・・・こういう風潮に傾くのは、現行のシステムでは無理からぬことでしょう。


一昔前の外国人力士・・・史上初の外国人関取となった高見山は、「日本人以上に日本人」 とまで言われファンに愛されましたし、小錦や曙も同様でした。

しかし最近の外国人力士には事件・不祥事を起こす者が複数出るなど、明らかに様相が変わってきています。


その原因はズバリ、現在の親方や協会による入門時の初動教育・躾の甘さでしょう。


「相撲の歴史と、国技を嘔う所以」、「日本独自の神道との関わり」、「力士・関取の立場」 、そして〝ちりを切る〟など土俵上の所作に込められた意味合い等々をしっかりと教え、これらを理解できないようなら辞めさせる・・・それくらいの厳しさがなければ国技を標榜する資格なし、勝つことが全ての単なる格闘技になってしまいます。

現状のままならば文部科学省に財団法人指定を返上・株式会社化して、強さだけを競う興行団体に衣替えすべきでしょう。

           ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-大相撲

親方や部屋の利益保護を最優先してきた歴史を持ち、他のプロスポーツと違ってトレードやフリーエージェントなどない旧態然とした大相撲において、力士は途中で親方・部屋を変えることができませんから、入門する部屋によって教育・指導に大きな差が出ることは歴然・・・朝青龍も、もし別の親方に指導を受けていたら、違う結果になったかもしれません。

10代半ばから相撲界の中だけで純粋培養され、地位を築いた一部の元力士だけが権力を掌握・保持しようとする旧態然とした閉鎖社会は、私の目には世の中の変化から取り残された〝日本のガラパゴス〟に見えるのです。

八百長疑惑、リンチ死事件、大麻事件、そして一連の朝青龍問題等々・・・これらの問題に対する協会の対応は、隠蔽や逃げに終始するなど一般社会では考えられないものばかり。

そして今回の暴行問題でも、理事会での外部理事2名を加えた最初の採決では、解雇6:出場停止6だったとか。

(この際、武蔵川理事長・北の湖元理事長は出場停止を支持。 もっとも北の湖理事は自身にホステスを殴った過去がありますから、解雇とは言えなかったんでしょうけど。)

もし横綱審議委員会からの引退勧告がなく親方理事10名だけで評決していたら、従来通りの甘い処分で済ますことになりましたし、理事選で一門の縛りに反した親方の犯人探しに血道をあげて一旦辞任に追い込みながら、世論批判を浴び慌てて撤回させたり・・・もう古株理事の〝業界常識〟だけで国民から信頼を回復できるような改革を実行するのは不可能のように思えます。

協会が守るべき伝統とは、一般人には不明朗な年寄名跡や桝席販売の茶屋制度等のシステムではなく、「相撲道精神」 のはず。


新理事になった貴乃花親方が相撲教習所長を拝命して新弟子の教育責任者になったことは、今回の騒動のなかで唯一の光明といえますが・・・従来の如くごく少数の力士の人気に頼った興行を行うだけでなく、貴乃花親方の提唱するように小学生が普段から相撲を取る環境を整えるなど底辺の拡張に力を注がないと、ガラパゴスに棲む人々は絶滅危惧種に指定される羽目になるかもしれません。うー


理事選で一門の縛りを超え、貴乃花親方に票を入れた親方が3人いたことに大相撲改革の僅かな望みを託し、今しばらく相撲界を静観したいと思います。


P・S>

それにしても、引退した朝青龍をハワイまで追いかけて、「これから、どこへ行くんですか?」 なんてくだらない質問ぶつけるレポートをニュース番組トップに持ってくるTV局も、品格が無さ過ぎ・・・いい加減にしたら?怒り顔

          

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こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10451175479.html?frm=themeより引用させて頂いております。