恐怖の商談 <上>


「足がすくむ」 という言葉がありますが、実際にそんな恐怖体験をお持ちの方は、どれくらいいらっしゃるでしょう
か?

以前ロッキード事件の国会証人喚問に召喚された某企業トップが、緊張で手が震えて宣誓書になかなか署名できなかった・・・いわゆる 「手がすくむ」 状況をTV中継で見たことがありました。

(いくらなんでも字が書けないなんてことがあるのか?) と疑問に思ったものですが、まさか自分が数年後に同じ状況に陥るとは、その時は夢にも思いませんでした。

それは今から30年近く前・・・まだ私が20代後半の若き営業社員時代のこと。

数年後にソウル五輪を控えたその頃、「加入するとソウルオリンピックの入場券をゲット」できるという、旅行会社とタイアップした積立保険を販売することに。

距離も近いし、体操・柔道・水泳など有望種目が多い事から結構売れたのですが・・・その販売キャンペーンも終盤に差し掛かった時、ある取引先から紹介をいただいたのです。

何でもソウル五輪をどうしても観たいので保険に加入したい、という会社社長の知人がいるとのこと。

ただ紹介してくれたご本人は保険の素人ゆえ、私に説明に行って欲しいと・・・新規のお話ですから、「もちろん、いいですョ。」 と私はふたつ返事でOK。

翌日昼過ぎに、都内某所にあるその会社に向かったのですが・・・教えられた住所には大きなマンションが建っており、しかも郵便受けには社名などの表記が全くナシ。

          ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-郵便受け

さらにドアの前に行ってみると、表札もかかっていないのです。

(変なの~。)

とは思ったものの、丁度指定された時間になったのでドアをコンコンっと叩くと、「どうぞ」 と中から声が。

「失礼しま~す。」 とお辞儀をしながらドアを開けて中に入り、 「A社長さんはいらっしゃい・・・」 と言いかけた私は、目の前の光景に思わず言葉を呑みこんでしまいました。

事務所の正面奥には大きな神棚が祀られており、その両側には〝○○組〟と書かれた弓張提灯がズラ~リ・・・そしてフロアにはコワモテのオニイサンが数名。

ここがどんな〝会社〟だったのか、もうご説明の必要がないでしょう。

「何だ、オメェは?」

と一番近くに座っていたオニイサンにドスの効いた声で聞かれ、思わず社名と自分の苗字を喋ってしまった私は、続けて (すみません、間違えました~。) と言って帰ろうとしたその時・・・部屋の左奥から

「おぅ、こっちに来てもらいな!」

という、野太い声が。

その一言ですっかり体が硬直してしまった私・・・「おう、こっちだ」 という若い衆 ジャナカッタ 社員に案内されるまま、まるで壊れかけのロボットのようにぎこちない歩き方で、〝社長室〟に通されました。

「アンタが保険屋さんかい? 待ってたゾ。 まぁ、こっちに来いヤ。」

そういわれるまま、部屋の奥にあるバカでかい応接セットに座らされた私。

嗚呼、もう逃げれないナベちゃんの、明日はどっちだ? うー

          ・・・・・To be continued.


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