日本人論

かつて戦後急激な経済成長を遂げた日本人経営を評価した、〝Japan as Number One 〟という著書がベストセラーになったことがありました。

その他にも、外国人の手による 「日本人」 を論じた著作は何冊もありますが、おそらくその最初となる書物が日本語訳で発売されたのが、今から60年以上も前の今日・・・1948年12月28日のことでした。(※アメリカでは1946年発刊) 

その本の題名は、

『 菊 と 刀 』 (原題:The Chrysanthemum and the Sword

たとえ読まずとも、この独特な表題をお聞きになった方は多いことでしょう。

          ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-菊と刀

著者は、ルース・ベネディクト (Ruth Benedict ) というアメリカ人の女性文化人類学者。


1887年に生まれ、コロンビア大学院を卒業した才媛だった彼女がこの本を書いたきっかけは、米軍戦時情報局から日本研究を委嘱されたことでした。

当初私がこの本を手に取った時、『菊と刀』 とは 『天皇制と武士道』 の比喩かと思いましたが・・・実際はそんな単純なことではなく、

「美を愛し菊作りに秘術を尽くす一方、力を崇拝し武士に最高の栄誉を与える」

という、西洋人からすれば一見矛盾する二面性を日本人が持っている・・・という意味。

同書は、善と悪をはっきり分け白黒をはっきりつける絶対的西洋文化と比較して、自己主張よりも他人の評価を基準にして行動する相対的社会を〝恥の文化〟と位置づけました。

戦勝国アメリカが東洋人の分析をしているため、根底には日本蔑視の心情が流れているという批判も一部にあったようですが、個人的には頷くところが多々あります。

当然のことながら、戦時中ゆえ彼女が来日して調査することは不可能ですから、日系移民からの聞き取り調査や文献の熟読、日本映画鑑賞などを通して分析がなされたそうですが、その正確かつ緻密な内容には驚かされます。

戦前・戦中の日本が 「鬼畜米英」 と称し、いたずらに欧米人を野蛮かつ凶暴な人種であるかの如く国民に吹き込み、相手国の戦闘能力などロクに知らぬまま全面戦争に突っ込んでいった日本軍と比較すれば、その情報収集能力の差は歴然・・・これでは戦争に勝てるわけはありません。


            ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-Ruth Benedict

半世紀以上前に書かれた本を、なぜ今ご紹介するのか?・・・それは、同書には「恥」・「義理」・「人情」・「恩」など、現代の日本人が忘れかけている美徳を、我々に思い出させてくれるからなのです。

今年3月に起きた東日本大震災によって、私たちは「節約」・「我慢」 を再認識させられました。


物質文明に慣らされる中、日本人が本来持っていたはずの高い精神性・道徳心を今一度身につけるキッカケと必要性を、大震災と本書が教えてくれるような気がするのです。

同書の最終・第13章は、「降伏後の日本人」 という副題が。

しかし如何に優秀なルース女史でも、戦後20年を待たずしてオリンピックを開催できる程我が国が復興を遂げるとは予想だにしなかったようです。

アメリカを含め世界中の人々が想像する以上の復興と徳性の復活を日本人が成し遂げることを、震災に見舞われた年の瀬に私は信じたいのです。扇子

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こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-11025834299.html?frm=themeより引用させて頂いております。