理論派

プロ野球中継では実況アナと共に様々な解説者が出演しますが、皆さんは誰がお気に入りでしょうか?

私の中では、自分が野球に打ち込んだ大学時代にTBSで活躍され、当時としては唯一といっていい理論的な解説を冷静な口ぶりで語った

 牧 野 茂 氏

が、ダントツの№1。

現在に至るまで牧野氏程のハイレベルな解説は耳にしたことはありません。

(野球理論なら野村克也氏も一流ですが、シャベリがねちっこくて・・・。) あせあせ

今日・12月2日は、川上巨人V9を参謀として支え、日本プロ野球界に 「野球理論」 を初めて持ち込み近代化に大きく貢献した、この稀代の名コーチの命日にあたります。

牧野氏は1928年、香川県高松市に生まれました。

疎開先で編入した愛知商業で全国中等学校野球大会(※現在の甲子園大会)に出場し、明治大学に進学して神宮で活躍後、1951年に中日ドラゴンズに入団。

堅実なショートとして1954年のリーグ優勝・日本一に貢献しましたが、1959年に現役引退。 コーチとして残留したものの、1年で退団。

そんな牧野氏が、なぜ縁もゆかりもない巨人軍のコーチになったのか?

それは、退団後評論家として新聞に掲載した記事を読んだ川上監督が、その理路整然とした解説内容と深い洞察力に感嘆し、強く招聘したから。

当時現役時代に在籍した球団以外でコーチをするのは前例がなく、まして親会社がライバル同士だったのですが、川上監督自らが上層部を説得。


現場復帰を熱望していた牧野氏も中日側の了承を取り、1961年7月のシーズン途中に33歳の若さで入団。

川上監督の意向を受け米大リーグ・ドジャーズのスプリングキャンプを視察した牧野氏は、その練習法・戦術を習得しチームに浸透させていきます。

ワールドシリーズ連覇を果たしたド軍の野球は、チームプレーと守備・走塁にその強さの秘訣があると分析した牧野氏は、当時〝エースが抑えて4番が打てば勝てる〟というレベルだった日本野球を根本的に変えました。

            ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-牧野茂

中日時代には大した成績を上げていなかった牧野氏を当初は冷めた目で見ていた巨人軍の選手・OB達も、牧野氏の提唱する戦術が効果を上げ、1963年には前年4位から一気にリーグ優勝という結果が出るに従い、次第に一目も二目も置くように。


今では当たり前になっている走塁を重視した機動力を重視、ヒットエンドランの多用、バントシフト、そしてミスした選手からの罰金聴取等々・・・今では当たり前の戦術・管理法も、全て牧野氏が導入したものでした。


(※ちなみに〝バスター・バント〟は、牧野氏がアメリカ視察中に勘違いした誤訳がそのまま日本に定着した和製英語。 また 〝特訓」〟も彼が初めて使った単語だとか。)

その成果が最大限に発揮されたのが1965~73年までの9連覇でした。

V10を逃がした1974年に川上監督と共に退団し、1980年まで解説者として活躍された時期が、ちょうど私の野球現役時代・・・私が野球教本として唯一信頼・熟読したのも、牧野氏の著書でした。


そこから学んだ勝つために必要なもの・・・それは根性とか気合いではなく、確率の重視だったと記憶しています。

そして1981年、長嶋監督の電撃的解任を受け、藤田氏が後任監督に就任した際にヘッドコーチとして再び入団。

現役引退した王助監督と共に〝トロイカ体制〟で8年ぶりにチームを日本一に導きました。

彼が入団する前年の1980年、巨人の1点差試合は17勝33敗だったのが、牧野氏が入団し優勝を果たした81年には22勝16敗・・・どう見ても戦術に差があったことは明らか。

2年契約だったのを藤田監督のたっての願いで1年延長した1983年に再び巨人は優勝するのですが・・・実は牧野氏は再入団した年から膀胱癌に侵されていたのです。

1981年のオールスター戦の最中に医師から告知を受けていたのですが、チーム事情を優先した牧野氏は入院せず、手術もシーズン終了後に。

1983年シーズンオフにユニホームを脱ぎ、翌1984年5月に再手術したものの、既に手遅れだったとか。

そしてその約半年後の12月2日・・56歳の若さで天に召されました。

彼がいかに優れた参謀であったかは、〝野球の神様〟・川上哲治氏をして

「もし牧野君がいなかったら、巨人の9連覇は達成できていなかっただろう」

と言わしめ、また1991年にコーチとして初の野球殿堂入りしたことでも立証されているでしょう。

プロ野球屈指の理論家にして、我が野球の恩師でもあった牧野氏のご冥福をお祈り致します。笑3



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こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10998555983.html?frm=themeより引用させて頂いております。