遷 化

その瞬間(とき)が遠からず来るであろうことを、予想してはいました。

でも最近は出版社主催の講演会で講師を努めていらしたので、安心していたのに・・・その報を目にした時、私は大きなショックを受けたのです。

臨済宗妙心寺派の・・・いや、日本仏教界の至宝、

 松原 泰道 

が先月29日に遷化されました。 101歳の、まさに大往生でございました。

               ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草-松原泰道師

僧侶である父の許に生まれ、早稲田大学卒業後仏道に入った先生は、ある時師から 「お前は世に広く仏教を広める仕事をしなさい。」 と言われたとか。

その言葉通り、1972年に大ベストセラーとなった 「般若心経入門」 をはじめ多数の著書を世に残され、また講演会などを通して仏教の普及活動を積極的に続けられました。

私も先生の著書を何冊も読み、大いに勉強させていただきました。

しかし著作を通してしか教えを得ることが叶わなかった私にとって、先生は言ってみれば〝雲の上〟の存在でありました。

それが一変(?)したのは今から4年程前のこと。

世田谷区にある 『龍雲寺』 という立派なお寺で葬儀のお手伝いをした時、ふと目にした入口の掲示板に「松原泰道先生 法話会」 の案内が・・・。

なんとこのお寺で春・秋に月一回開催されているというではありませんか。

逸る気持ちを抑えつつ開催日に訪れてみると、本堂は100人以上の聴講者で熱気ムンムン。

ご年配の方に混じって若い方も何人かいらっしゃいました。

松原先生は、思いの他小さな体をチョコンと車椅子に乗せ、にこやかなお顔で定刻に会場入り。

しかし約1時間半にわたった松原先生のお話は、とても98歳とは思えぬ活舌ぶり・・・ユーモアと最新時事を織り交ぜた大変に温かい内容でした。

最近はお布施に関していろいろ言われるご時勢ですが、率直に言って先生が私の葬儀で読経いただけるなら、100万円お納めしても決して高くない・・・そんな気持ちになったものです。

その後何回も法話会に足を運び、法華経の講義などを聴かせていただきましたが、100歳を前に体調を考慮されてこの法話会は中止に・・・。

しかしその後も先生の著書を読むたびに、私の心にはナマで見た松原先生の笑顔と声が常にありました。

・・・今、私の手元には宝物がひとつあります。

それは法話会の後、退席する先生を追いかけていって当時読んでいた松原先生の全集本の一冊にいただいたサイン。

            ウォームハート 葬儀屋ナベちゃんの徒然草

「先生、いつもありがとうございます。 

是非先生のご本に一筆いただけますでしょうか?」


と図々しくお願いすると、先生はニッコリと微笑まれながら迷いなくサラサラ~ッと一首したためられました。


「この意味はね・・・」

と言いかけられたところで、次々と私と同類のミーハー族 あせあせ が先生の車椅子を取り囲み、それ以上の 「個人講義」 を受けられなかったことが、今となっては心残りなのですが。

 仏とは さくらの花に(の) 月夜かな

                 九十八才  泰 道

先生がこの一首を私に授けてくださった真意は何だったのか?・・・今となっては、先生からいただいた永遠に解き明かされない 「公案」 となってしまいました。

江戸時代の俳諧師・宝井其角作であるこの短歌の意味を感じつつ、松原師のご冥福を衷心よりお祈り申し上げるばかりです。笑3



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こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10310896461.html?frm=themeより引用させて頂いております。