ねぶた

ご主人様は、奥様を深く・・・本当に深く愛していらっしゃいました。


50歳過ぎてからも学位を取得された程の大変聡明な女性で、ご主人にとっては自慢の奥様でした。


しかし・・・病魔は突然奥様を襲ったのです。


5年以上にわたり入退院を繰り返され、その間実に3度の手術を受けられたという、壮絶な闘病生活。

ご主人の必死の看病にも関わらず、奥様は遂に力尽き、眠るように旅立たれてしまったのです。



奥様は青森のご出身でした。


5人兄弟の末っ子だった奥様の葬儀には、地元からお兄様と3人のお姉様が駆けつけられました。


「なして・・・なしてオメ、こった事(ごと)になってまったのサ・・・」


棺にすがりついて号泣されるお兄様。末の妹を、我が娘のように可愛がっていらっしゃったことが、手に取るように伝わってきます。


棺の中で静かに横たわる故人様は、懐かしいふるさとの言葉を耳にして少し安心されたかのように、微かに笑みを湛えられたまま・・・。


通夜の開式前には、4人のお兄姉様がメモリアルコーナーに展示された写真や賞状等を手に取りながら、津軽弁で思い出話をされていました。


私は以前、転勤で青森に住んでいたことがあったものですから、懐かしい津軽弁を耳にして思わずお兄様に話しかけてしまいました。


「青森は、どちらからおいででスか?」


、油川で。」(※津軽弁では私のことを「ワ」と表現するんです。)

「ンですかァ~。 私も昔、合浦(がっぽ)サ住んでたことがあるんですょ。」

「あぁ~、そだんだか!」

2、3回言葉を交わすだけで、すっかり町内会(?)の知り合い同士のような気分になるから不思議です。笑3

2日間にわたり葬儀は無事執り行うことができ、最後にご遺族・ご親族の皆様が「精進落とし」を召し上がる段になりました。

献杯のご挨拶は、お兄様にお願いすることに・・・。

「妹は、優しいダンナさにメンコがられて・・・


私らよりも短い人生ではありましたが、幸せ者でした。

ただ・・・ただもう一度だけ・・・妹サ・・・ねぶた見せてがった。

それが・・・それだけが・・・心残りで。」


          ねぶた

ご主人様や、故郷のお兄姉様、そしてご友人など多くの方に愛されていた故人様・・・。

きっとお兄様は妹さんの遺影を抱いて、万感の想いで今年のねぶた見物に行かれることでしょう。



今年も間もなく始まる、ねぶた祭り。


ドン、ド、ドンドンドン。 ドン、ドドドン・・・音譜

(大丈夫ですょ。・・・妹様はきっとお兄様と寄り添って、ねぶた祭りを楽しんでから、あのお囃子にのって天国へと旅立つことでしょう。)

誰にも聞こえぬように、私はそっと呟いたのでした。 (-人-)合掌。



こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10101378515.html?frm=themeより引用させて頂いております。