前 衛

子供の頃、クラシック音楽ばかり聴いていた私・・・確か中学生になったばかりの頃、ある意味衝撃を受けたレコードに出会ったことがありました。

それは、『スイッチト・オン・バッハ』。バッハの名曲をシンセサイザーで編曲した演奏でした。

「チュイ~ン・・・」という奇妙な音なのに、何とも言えず耳にスンナリ入ってくる音楽に、「これからはこんな音楽が流行るのかなぁ・・・」と、子供心に不思議な気持ちになったものです。

それから時が過ぎ、高校生になった私は、再びこのシンセサイザーという楽器に驚かされることになります。

それは冨田勲氏がリリースした『展覧会の絵』でした。 当時この曲は私の尊敬するピアニスト、V・ホロヴィッツ氏の演奏ばかり聴いていたものですから、そのあまりに斬新な音楽にショックすら受けました。

さらにその2年後、新たに発表されたホルストの『惑星』に至っては、オーケストラ演奏よりも遥かに〝宇宙的〟な音色を耳にして、シンセサイザーの無限の可能性を感じざるを得ませんでした。

この『惑星』を聴いて感動したF・コッポラ監督が、『地獄の黙示録』の音楽担当を要請した・・・という裏話もあったそうです。

それまで冨田勲氏といえば、私の中では手塚アニメ 『ジャングル大帝』 や、NHK 『新日本紀行』・『きょうの料理』 等の番組イメージ音楽(ちなみに私が一番好きだったのは、大河ドラマ『勝海舟』のメインテーマでした)を手がける作曲家としての、どちらかといえばクラシカル、というかオーソドックスなイメージを持っていた方だったのですが・・・ミドルエイジで〝未知の楽器〟に挑むチャレンジ精神には感心させられたものです。

冨田氏は慶應義塾大学の文学部卒で、いわゆる音大は出ていないという、異色の音楽家。驚き顔 ヘェ~

だからこそ、固定観念を持たずに柔軟な発想と行動が出来るのかもしれませんネ。

        シンセサイザー

               <シンセサイザー MOOGⅢ>


その冨田勲氏のインタビュー記事が、日経ビジネス10月27日号に掲載されていました。 懐かしさを込めて以下に編集・抜粋にてご紹介させていただきます。

シンセサイザーとの出会いは1970年代の初頭です。 それから独りで無我夢中でここまでやってきました。 これが新しいとか最先端だとか、そういう意識はあまりありません。

この先に何があるのかボクにも見当がついていません。 ただ可能性があるから続けています。

部屋に閉じこもって独りで曲作りをする、一般大衆の感覚を無視して芸術性を追求し、「分かる人だけ分かればよい」というのは間違っていると思います。

シンセサイザーならオーケストラを使う場合のような経済的・時間的な制約が少なくなります。

自分で心行くまで作り込める装置はできていました。

ただそこにジレンマもあります。

好きなだけ時間をかけて完璧に作るのが、必ずしも良いかどうか分かりません。

たとえ欠点があっても、ひとつの個性があれば良いと考えています。

創作活動は最終的には作者のエゴだと思います。 ただ、それがある意味どこかで大衆とシンクロしていかなければならない。 この感覚は、新しいものを創造し開発する企業にとっても同じではないでしょうか?

・・・う~ん、なかなか含蓄のある言葉です。

最近は、過去に手がけたアルバムを5.1サウンドで再び制作しているという冨田氏・・・更に洗練された氏のシンセサイザー・サウンドを、是非また聴いてみたいものです。笑3

こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10155895286.html?frm=themeより引用させて頂いております。