宿 命

一週間前、私は全英オープンの中継を見る気は、正直全くと言っていい程なかった。


先月、T・ウッズがU.S.オープン制覇の代償としてヒザの故障が悪化、今シーズンを欠場することとなり、誰が優勝してもおかしくない混戦が予想されたとはいえ・・・荒涼としたリンクス・コースで風雨に晒されながらの我慢比べとなるこの大会を、4日間見る気にはなれなかったのだ。


ところが、予選ラウンド初日の結果を見て、気持ちは180度変わってしまった。


Greg Norman  53歳


彼の名がロイヤルバークデールGCのリーディング・ボードに掲げられることなど、一体誰が予想したであろうか。

私がゴルフに熱中していた30歳代は、日本ではジャンボ尾崎、世界ではG・ノーマンが文句なくNo.1の時代であった。


世界中のツアーで通算68勝、6年近くにわたり世界ランキング1位を維持していた頃の彼のブレーぶりは、〝白鮫〟と言われるに相応しい、相手に飛び掛って食い千切らんばかりの凄まじい迫力に満ちていた。


            G・ノーマン


しかし、そんな彼でも、何故かメジャー・タイトルには縁遠かった。

T・ウッズは、過去メジャー・トーナメントに於いて、最終日トップでスタートした大会は全て優勝しているが、ノーマンは最終日トップでスタートしたケースが8回もありながら、その内優勝したのはたった1回(!)という、信じられない「低勝率」が最大の要因だった。


特に忘れられないのが、マスターズ。

1986年は、最終日・最終18番ホールのセカンドショットをギャラリーの中に打ち込んでいまい、J・ニクラウスの奇跡の復活・・・ “Jack is back!” をお膳立て、単なる引き立て役で終わってしまった。

そしてトドメは1996年。 圧倒的にリードしてスタートしたにもかかわらず、なんと「78」を叩いて自滅、N・ファルドに優勝をプレゼントしてしまったのだった。

それ以前には中島常幸らを退け、2度全英オープン・タイトルを獲ってはいたものの・・・おそらく、彼の中ではこの年の敗北で、マスターズを含めたメジャー・タイトルの奪還意欲はすっかり萎えてしまったのかもしれない。

このマスターズの翌年・1997年、ゴルフ界にはT・ウッズという怪物が登場、以来世界ランキング1位の座はは殆ど彼が独占し、ノーマンの名がマスコミ報道で取り上げられることはいつしか殆どなくなっていった。

・・・そのノーマンの名が、3日目を終えた時点でリーディグ・ボード最上段に登場したのだ!目

最終日・最終組で、2位に2度差をつけて首位でスタート。 もし優勝すれば、メジャー優勝の最年長記録を大幅に更新することとなる。

前日までのプレーぶりは、過去の凄まじい迫力、というより「力み」が影を潜め、他のプレーヤーにはない余裕を感じさせる素晴らしいラウンドであっただけに、私はほぼ同年代である彼の応援をすべく、日曜日の夜TVにかじりついた。

「今度こそ、彼は自らの呪縛を振り解いてくれるだろう!」という願いにも似た期待と、ほんの少しの不安を抱いて・・・。

日本時間午後10時20分、最終組ティー・オフ。

しかし、私の期待は出だしから挫かれた。 1番ホールからの3連続ボギーでアッと言う間に首位の座を滑り落ち、中盤で一旦は首位タイに並んだものの、やはり最終日は「77」の大叩きに終わってしまったのだ。

最終日に限って、いい感じのパットが何度もカップのフチをなめては外れ、カップの中を覗いては無情にも通り過ぎてしまう・・・。

フロントナインでせめて1つか2つ、あのパットが入ってさえいれば・・・。うー


17番ホールでバーディーを逃した一方で対戦相手がイーグルを奪い、ノーマンの優勝の可能性が完全に絶たれた瞬間・・・私の目からは不用意に涙がこぼれてしまった。泣き1

日本時間午前2時40分過ぎ・・・ノーマンが最後のボギー・パットを沈め、3位タイでホール・アウトした瞬間、再婚相手・エバート夫人が悔しそうに唇を噛みしめ、ジッと18番グリーン上の彼を凝視していた横顔が実に印象的だった。


あぁ、「勝利の女神」・新妻エバートの“愛の支え”があっても、ノーマンの『宿命』は変えられなかったのか?


しかし冷静になって考えてみれば、53歳のプレーヤーがメジャー・トーナメントの最終日・最終組に入ったこと自体、快挙といえるだろう。


私は信じたい。


今週開催される全英シニア・オープンで、エバート夫人と18番グリーンで抱擁する姿を我々に見せてくれることを・・・。


〝 Good luck ,White Shark ビックリマーク



・・・おっと、失礼。 ご迷惑をおかけします


P・ハリントン選手、手首の故障をおしての全英2連覇、おめでとう!


サンデー・バックナインのプレーは凄すぎだ! 扇子



こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10118448742.html?frm=themeより引用させて頂いております。