日本酒

2008-02-10 08:25:18
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70歳代で亡くなられたお父様には、2人の息子さんがいらっしゃいました。


奥様の体調が優れなかったこともあり、喪主は金融機関にお勤めの真面目そうなご長男が務められることになりました。


迎えた通夜当日の午後4時頃、式場内の準備真っ最中だった私に、顔を赤らめた男性が近づいてこられました。


「葬儀屋さんさぁ、この辺にお酒売ってるところないかなぁ?」


「は、はぁ?」 通夜の開式前に酒屋さんの場所なんて聞かれたことがなかった私は、一瞬呆気にとられましたが、「少し離れてますけど、コンビニならありますょ。」と、場所をお教えしました。


「おぅ、ありがとナ!」


といって式場を出て行く男性を見守りながら、そばにいらした喪主様にどなたかお聞きすると・・・。


苦笑まじりに「あれが弟ですワ。」というお答え。


何でも建設関係の会社にお勤めで、大変お酒好きの方なのだそうです。


(だけど、今からそんな飲んじゃって・・・大丈夫かなぁ?)  

何となく不安なワタクシ・・・。あせあせ 



仏式葬においては、『末期の水』を差し上げる儀式がございます。一般的にはご遺体をご自宅にご安置した際にご遺族・ご親族に執り行っていただくものですが、今回はご親族が遠方にお住まいの方が多かったため、通夜開式前に、式場で行いたいというご要望でした。


4時30分を過ぎて、ご遺族・ご親族の皆様が式場に集まってこられましたが、さっきの弟さんの姿が見えません。(^^;


「弟さんが戻ってこられるまでお待ちしましょうか?」と喪主様にお聞きしましたが、「いえ、始めてください。」というお答え。


周りのご親戚からも、「ったく、相変わらずしょ~がねぇヤツだなぁ。」とヒソヒソ声が・・・。あせあせ



「それでは始めさせていただきます。」


喪主様から順次故人様のお口に、脱脂綿を巻きつけた割り箸を使ってお水を差し上げていただきました。


あと2,3名で終了・・・というところで、突然式場の扉が「ガラガラッ」と開き、弟さんが駆け込んでこられました。


「いや~、悪い悪いっ!コレ買いに行ったら、帰りに道迷っちゃってサ~。」


という弟さんの手には が・・・。


          ワンカップ大関

「あいつ、こんな時に酒なんか買いに行きやがって・・・」と訝るご親族に目もくれず、弟さんは一直線にお父様の棺に突き進み、呆然と立ち尽くしていたご親族の手から脱脂綿棒を取り上げてしまいました。そして・・・

「オヤジ~、大好きな日本酒買ってきたゾ~! 飲みたかったろ! 今オレがあげるからナ~!」


と、カップの蓋を開け脱脂綿に日本酒をタップリ含ませて、お父様の口に持っていかれました。


「どうだオヤジ~! うめぇだろ~!?」と泣きながらお父様にお酒を差し上げる弟さん。


その姿を黙って見ていたご親族から、誰とはなく「なぁ、もう一回みんなでお酒あげようよ。」という声が・・・。


その瞬間、私は式場内の空気が“ピシッ”とイッキに引き締まった、というか気持ちが一つにまとまった気が致しました。


さっきまで白い眼で弟さんを見ていたご親族の方々は、もう誰も文句など言うことはなく、再度喪主様から順番に、粛々と日本酒を差し上げられたのでした。


その日の通夜は大変に気持ちのこもった、酔い モトイ 良い雰囲気のお式となりました。笑3


やはり良いご葬儀になるかどうかは、参列した方々のお気持ち次第・・・なのかもしれません。



翌日午前10時からの告別式。9時過ぎに式場に来られた弟さんの顔色はすでに真っ赤。*´`*ウィ


ご出棺の際には、最後まで「オヤジィ~!」と叫びながら柩にすがりつかれ、会葬者の涙を誘っておられました。(T・T)



こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10071554247.html?frm=themeより引用させて頂いております。