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2008-04-11 07:05:55
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未だ桜の蕾も固い、とある早春の日の昼下がり・・・弊社に一本の電話が入りました。


声の主は、私の親友S君が所属する草野球チームのメンバーだとおっしゃる“Yさん”という方で、S君から私のことを聞いて電話をされたのだそうです。


「あの~、急いで葬儀のことをご相談したいのですが。」とYさん。


お話を伺っていると、Yさんは40歳前半の方でしたので、


「わかりました。では早速にご都合のよい場所に、私の方から伺わせていただきます。で、ご相談のご対象になる方は、失礼ですがY様の親御様でいらっしゃいますか?」


という私の問いかけに、電話口から返ってきたYさんの答えは、


「いいえ、実は私なんです。」


「エッ!・・・」目


全く予想外の答えに一瞬絶句した私でしたが、何とか気を取り直して翌日入院先の病院でご相談させていただくお約束をし、受話器を置きました。

・・・翌日の午後、指定された病院の談話室に伺うと、そこにはYさんともうお一人、上品な初老のご婦人がいらっしゃいました。


もしや・・・ご挨拶させていただくと、やはりYさんのお母様でした。


私は過去何度も「ご本人」と自らの葬儀についてのご相談をお受けしたことはありましたが、お母様同席で・・・というのは初めての経験でした。


既に目を泣き腫らしていらっしゃるお母様をなだめながら、Yさんは


*自分は一週間程前に、医師から余命1カ月という宣告を受けていること。


*自分は自らの葬儀はお仕着せのものでなく、仕事で世話になった方々や、チームメート・友人など、できるだけ多くの方に笑顔で送って欲しいので、絶対に元気なうちに自分の葬儀の打ち合わせがしたかった。


*母はそれを強く反対したが、数日かけて説得して、昨日電話をかけることができた。


等々、あまり具合が優れないご様子ながらも、一生懸命にご自分の思いを伝えようと必死に話すYさん・・・。



「わかりました。お母様の前で息子さんのご葬儀の相談をされるのは大変辛いことだと存じますが、Y様の強い思いを受け止めて、私も率直にご提案させていただきます。」


と、私もハラを括りました。


その後Yさんの体調を考え、できるだけ時間をかけないよう心がけながらご相談をさせていただくこと1時間余り。


最後にYさんが、「本当は来てくれた方全員に『ありがとう』って言いたいょねぇ。」と呟くようにおっしゃった言葉を聞いた私は、


「ではYさん、会葬者の方に伝えたい言葉、病室で録音されたら如何ですか? 私がそれを皆様に必ずお聞かせしますょ。」


それを聞いたYさん、少し辛そうだったお顔がパァ~ッと明るくなられました。


「あ、なるほど。それ、いいですね。 

 明日にでも友達にラジカセ持って来てもらいますョ。」



ご要望を全てお聞きし、それらについてご説明・ご提案をさせていただいた私は、お二人におかけする適当な言葉が見つからないまま、「それでは」と席を立とうとしました。


すると、Yさんは


「今日は乗りにくい相談に応えていただいて、ありがとうございました。おかげさまで気持ちが楽になりました。あとはよろしくお願いしますネ。」


とおっしゃり、お母様に支えられながら、遠慮する私を「まぁ、そうおっしゃらず」と、エレベーターホールまで見送りに来てくださいました。


エレベーターに乗り、ドアが閉まる刹那・・・。


「どうか、頑張ってください。」と搾り出すように声をかけた私に、Yさんは


「今日はありがとうございました!」



手を振りながら言葉をかけて下さったYさんの笑顔を私が見たのは、残念ながらこの時が最後となってしまったのです。



・・・・・・・・・・・・続く。            


こちらの記事はhttps://ameblo.jp/warmheart2003/entry-10085718691.html?frm=themeより引用させて頂いております。